・*不器用な2人*・
第14話/中学時代
中学時代、仲良くなった子から嫌われて、教室で1人になった。
最初は嫌われた自分が悪いと思って我慢を続けていたけれど、そのうちクラス全員から口をきいてもらえなくなって、聞こえよがしに悪口を言われて、辛くなって自然と学校へ行けなくなった。
友達から遊びに誘ってもらったのに、私が忙しくていけないと断ったのが原因だった。
それだけならよかったけれど、私は以前にも彼女からの遊びの誘いを断っていた。本当に偶然に用事が重なっていただけなのに、「うちらと一緒にいるの嫌なんでしょ」と問い詰められ、返事を待たずに絶交を言い渡されてしまった。
もう1度話を聞いてほしかったのに、私の言うことなんて誰も信用してくれなかった。
私の話なんて、誰も聞いてくれなかった。
その日、夢を見た。
男の子が私に背を向けてジッと立っている夢。
私は彼に近付こうと思うけれど、身動きが取れなくて、手を伸ばしてみた。
声をかけてみた。
けれど、彼は動かない。
その大きな背中が徐々に離れていくのを黙って見ている。
――梶君?淳君?
その男の子が誰なのかも分からずに、ただ私は彼を呼び続けていた。
学校へ行かなくなって1週間が経過する頃。
母親とリビングで話し合いになった。
このまま学校へ行けなくなるのなら、通信制高校へでも転校したらどうだろうということだった。
嫌だ、とすぐに思うことはできなかった。
それはそれでいいかもしれない……と思ってしまった。
「通信制なら綾瀬みたいな境遇の子も多いと思うし、学校へ行く回数も少ないからそれなりにうまくやっていけると思うの。
もしよかったら、お母さんが明日担任の先生に言っておいてあげる。」
母親に言われ、私はお願いすることにした。
一瞬だけ、めぐちゃんや野球部のメンバーの顔が頭を過ぎったけれど、すぐに振り払うことができた。
入学していきなり悪い噂を流されるような高校で、この先やっていける自信なんてまったくない。
悪いことを何一つしていないうちからハブられたのだ。これからだって身に覚えのないことで嫌がらせを受け続けるに決まっている。
翌日、母親が学校へ話しに行っている間に、スーパーへと買い出しに行った。
昼ご飯は一緒に作ろうと母親に言ってもらえて嬉しかった。
中学時代に私が家へ引き籠もってから親子仲が最悪で、一緒に何かをするということが一切なかったのだ。
レジを終え、スーパーを出たところで、急に声をかけられた。
振り返ると、柄の悪いジャージ姿の男子たちが入口の横に座り込んでいた。
――カツアゲされる。
直感的にそう思い、逃げようとしたところ、腕を掴まれた。
「風野綾瀬でしょ。俺ら同小だけど覚えてない?」
そう言われ、彼らの顔を見渡すと、何処か見覚えのある人たちばかりだった。
「みんな学校はどうしたの。」
私もその場に座り込みたずねる。
「いや、俺ら就職組だから。学校とか行ってないの。そういう綾瀬は学校どうした。」
明るく聞かれ、私は返答に困る。
サボり、そう小声で答えると、彼らはすぐに納得してくれた。
「前の週末に綾瀬が梶と一緒にいるとこ見たんだけど、お前らひょっとして高校一緒なの?」
小学校時代梶君とわりと仲良くしていた男子にそう言われ、私はおずおずと頷く。
これから退学することはとてもじゃないけれど言えなかった。
「梶、元気にしてる?友達いる?」
そう言う彼らは、先ほどの明るい調子ではなかった。
「野球部で、友達に囲まれて楽しそうだよ。」
そう答えながら私は暗い気持ちになったし、彼らも何故だか顔付きをお通夜のようにした。
「高校は楽しいんだ、梶。」
誰かがボソッと呟いて、それを誰かがたしなめた。
先程からの不自然なテンションに、私はどこかついていけない。
彼らは梶君と一緒で地元の公立中学に進学していたはずだ。
「中学で、みんな何かあったの?」
私が訊ねると、1番柄の悪い外見をした男子が驚いたように私を見た。
「ひょっとして知らないの?風野さん。
俺らの中学、野球部で自殺があったんだよ。」
――自殺。
その言葉に、私の胸が大きく鳴った。
最初は嫌われた自分が悪いと思って我慢を続けていたけれど、そのうちクラス全員から口をきいてもらえなくなって、聞こえよがしに悪口を言われて、辛くなって自然と学校へ行けなくなった。
友達から遊びに誘ってもらったのに、私が忙しくていけないと断ったのが原因だった。
それだけならよかったけれど、私は以前にも彼女からの遊びの誘いを断っていた。本当に偶然に用事が重なっていただけなのに、「うちらと一緒にいるの嫌なんでしょ」と問い詰められ、返事を待たずに絶交を言い渡されてしまった。
もう1度話を聞いてほしかったのに、私の言うことなんて誰も信用してくれなかった。
私の話なんて、誰も聞いてくれなかった。
その日、夢を見た。
男の子が私に背を向けてジッと立っている夢。
私は彼に近付こうと思うけれど、身動きが取れなくて、手を伸ばしてみた。
声をかけてみた。
けれど、彼は動かない。
その大きな背中が徐々に離れていくのを黙って見ている。
――梶君?淳君?
その男の子が誰なのかも分からずに、ただ私は彼を呼び続けていた。
学校へ行かなくなって1週間が経過する頃。
母親とリビングで話し合いになった。
このまま学校へ行けなくなるのなら、通信制高校へでも転校したらどうだろうということだった。
嫌だ、とすぐに思うことはできなかった。
それはそれでいいかもしれない……と思ってしまった。
「通信制なら綾瀬みたいな境遇の子も多いと思うし、学校へ行く回数も少ないからそれなりにうまくやっていけると思うの。
もしよかったら、お母さんが明日担任の先生に言っておいてあげる。」
母親に言われ、私はお願いすることにした。
一瞬だけ、めぐちゃんや野球部のメンバーの顔が頭を過ぎったけれど、すぐに振り払うことができた。
入学していきなり悪い噂を流されるような高校で、この先やっていける自信なんてまったくない。
悪いことを何一つしていないうちからハブられたのだ。これからだって身に覚えのないことで嫌がらせを受け続けるに決まっている。
翌日、母親が学校へ話しに行っている間に、スーパーへと買い出しに行った。
昼ご飯は一緒に作ろうと母親に言ってもらえて嬉しかった。
中学時代に私が家へ引き籠もってから親子仲が最悪で、一緒に何かをするということが一切なかったのだ。
レジを終え、スーパーを出たところで、急に声をかけられた。
振り返ると、柄の悪いジャージ姿の男子たちが入口の横に座り込んでいた。
――カツアゲされる。
直感的にそう思い、逃げようとしたところ、腕を掴まれた。
「風野綾瀬でしょ。俺ら同小だけど覚えてない?」
そう言われ、彼らの顔を見渡すと、何処か見覚えのある人たちばかりだった。
「みんな学校はどうしたの。」
私もその場に座り込みたずねる。
「いや、俺ら就職組だから。学校とか行ってないの。そういう綾瀬は学校どうした。」
明るく聞かれ、私は返答に困る。
サボり、そう小声で答えると、彼らはすぐに納得してくれた。
「前の週末に綾瀬が梶と一緒にいるとこ見たんだけど、お前らひょっとして高校一緒なの?」
小学校時代梶君とわりと仲良くしていた男子にそう言われ、私はおずおずと頷く。
これから退学することはとてもじゃないけれど言えなかった。
「梶、元気にしてる?友達いる?」
そう言う彼らは、先ほどの明るい調子ではなかった。
「野球部で、友達に囲まれて楽しそうだよ。」
そう答えながら私は暗い気持ちになったし、彼らも何故だか顔付きをお通夜のようにした。
「高校は楽しいんだ、梶。」
誰かがボソッと呟いて、それを誰かがたしなめた。
先程からの不自然なテンションに、私はどこかついていけない。
彼らは梶君と一緒で地元の公立中学に進学していたはずだ。
「中学で、みんな何かあったの?」
私が訊ねると、1番柄の悪い外見をした男子が驚いたように私を見た。
「ひょっとして知らないの?風野さん。
俺らの中学、野球部で自殺があったんだよ。」
――自殺。
その言葉に、私の胸が大きく鳴った。