・*不器用な2人*・
授業が始まると、クラスの中でもグループが出来上がっていった。
私は昨年のようにあぶれることはなく、屋上のメンバーと一緒にいることが多かった。猿渡さんたち元・Aクラスに混じって喋ることもあり、それなりにクラスに馴染むことができた。
木山君は出席日数のことを前担任からも新担任からも注意を受けたらしいけれど、本人は気にしていないのか殆ど教室にはいなかった。
「あいつ、昨年度の終わりもずっとあんな感じだったから。
放っておいても大丈夫だよ」
浅井君が私と恵一君にそう言ってくれたものの、放っておける雰囲気ではなかった。
片眼の生活には慣れてきたようだけれど、未だに報告していないらしい彼は、「前髪が長すぎる」ということを先日生徒指導部の先生から注意されたばかりだった。
顔がカッコいいし去年の評判がよかったため、彼と話したいという女子はいたものの、ほとんどスルー。
たまに機嫌がいい時は笑顔で対応するけれど、面倒になるとこっぴどく無視。
その態度は新しいクラスメートたちの反感を買ったらしい。
一部の生徒たちはさっそく木山君の悪口を言い始めていた。
「風野ちゃんって、元Dクラスの男子たちと仲良かったよね?」
移動教室の際、猿渡さんに訊ねられて私は頷いた。
猿渡さんのグループの中には1人、安藤さんという元Dクラスの女子がいる。
「木山君ってどんな人なの?
なんか去年と印象違うんだけど」
コソッと聞かれ、私は前の方を1人で歩いている木山君をさりげなく見る。
「優しくて我慢強い人……、だよ」
私の言葉に猿渡さんは一瞬顔をしかめたものの、「そうなんだ」とすぐに笑顔を取り繕ってくれた。
たまたま通りがかった淳君に彼女は声をかけて、「結局告白断ったらしいじゃん」と例の話を蒸し返していた。
猿渡さんのように木山君のことを気にしてくれる人もいる反面、木山君のことが気に入らない生徒もそれなりの数を占めているようで。
理科実験の際に彼と同じグループになるはずだった人たちは、無断欠席の木山君の悪口をコソコソと言っていた。
「カッコいいけど怖いし取っ付きにくいし、ていうか感じ悪すぎるよね」
始業式の時に声をかけていた女子たちが舌打ち混じりに話しているのを聞いて、少しだけ嫌な気分になった。
昨年の体育の授業はいつもめぐちゃんと一緒にいたけれど、男の子の恰好になっためぐちゃんは男子たちの引っ張りだことなってしまい、私たちの元へ来てくれることはほとんどなくなった。
男子の恰好でも美形なのには変わりがないため相当なモテ方をしていたものの、「今さら女の子に興味ない」と本人は言い張っている。
「私もめぐのこと今さら男として見られないなー」
元Aクラスの女子たちはたった今シュートを入れたばかりのめぐちゃんを眺めながら呟いた。
「それより今年のクラスってどの男子が1番いいと思う?」
男子たちのバスケを見学していた女子たちの間で、一気にそんな話になった。
「浅井君」「井上君」「梶君」「木山君の弟」「木山君」と、身近な名前が続々と上がる。
梶君は私の彼氏だよ……と心の中で思いながらも、梶君が誰から見ても素敵な男子であるというのは悪い気がしなかった。
私は昨年のようにあぶれることはなく、屋上のメンバーと一緒にいることが多かった。猿渡さんたち元・Aクラスに混じって喋ることもあり、それなりにクラスに馴染むことができた。
木山君は出席日数のことを前担任からも新担任からも注意を受けたらしいけれど、本人は気にしていないのか殆ど教室にはいなかった。
「あいつ、昨年度の終わりもずっとあんな感じだったから。
放っておいても大丈夫だよ」
浅井君が私と恵一君にそう言ってくれたものの、放っておける雰囲気ではなかった。
片眼の生活には慣れてきたようだけれど、未だに報告していないらしい彼は、「前髪が長すぎる」ということを先日生徒指導部の先生から注意されたばかりだった。
顔がカッコいいし去年の評判がよかったため、彼と話したいという女子はいたものの、ほとんどスルー。
たまに機嫌がいい時は笑顔で対応するけれど、面倒になるとこっぴどく無視。
その態度は新しいクラスメートたちの反感を買ったらしい。
一部の生徒たちはさっそく木山君の悪口を言い始めていた。
「風野ちゃんって、元Dクラスの男子たちと仲良かったよね?」
移動教室の際、猿渡さんに訊ねられて私は頷いた。
猿渡さんのグループの中には1人、安藤さんという元Dクラスの女子がいる。
「木山君ってどんな人なの?
なんか去年と印象違うんだけど」
コソッと聞かれ、私は前の方を1人で歩いている木山君をさりげなく見る。
「優しくて我慢強い人……、だよ」
私の言葉に猿渡さんは一瞬顔をしかめたものの、「そうなんだ」とすぐに笑顔を取り繕ってくれた。
たまたま通りがかった淳君に彼女は声をかけて、「結局告白断ったらしいじゃん」と例の話を蒸し返していた。
猿渡さんのように木山君のことを気にしてくれる人もいる反面、木山君のことが気に入らない生徒もそれなりの数を占めているようで。
理科実験の際に彼と同じグループになるはずだった人たちは、無断欠席の木山君の悪口をコソコソと言っていた。
「カッコいいけど怖いし取っ付きにくいし、ていうか感じ悪すぎるよね」
始業式の時に声をかけていた女子たちが舌打ち混じりに話しているのを聞いて、少しだけ嫌な気分になった。
昨年の体育の授業はいつもめぐちゃんと一緒にいたけれど、男の子の恰好になっためぐちゃんは男子たちの引っ張りだことなってしまい、私たちの元へ来てくれることはほとんどなくなった。
男子の恰好でも美形なのには変わりがないため相当なモテ方をしていたものの、「今さら女の子に興味ない」と本人は言い張っている。
「私もめぐのこと今さら男として見られないなー」
元Aクラスの女子たちはたった今シュートを入れたばかりのめぐちゃんを眺めながら呟いた。
「それより今年のクラスってどの男子が1番いいと思う?」
男子たちのバスケを見学していた女子たちの間で、一気にそんな話になった。
「浅井君」「井上君」「梶君」「木山君の弟」「木山君」と、身近な名前が続々と上がる。
梶君は私の彼氏だよ……と心の中で思いながらも、梶君が誰から見ても素敵な男子であるというのは悪い気がしなかった。