オレンジ



画面が発信中から呼び出し中に変わった。


と。



少し遅れて、
公園の滑り台の裏あたりから音楽が聞こえてくる。



えーりの着メロだった。




俺は電話を切った。


それから少し遅れて音楽が消えた。



間違いない、えーりだ。




そう俺は確信を持って、えーりの名前を呼ぶ。



「えーり」


「……」



返事は返ってこない。


シカトしているのだろうか。



俺はむかついて、ずかずかと歩みを進めた。



「えーり…!」


< 29 / 81 >

この作品をシェア

pagetop