オレンジ
俺はその筋をそででぬぐってやる。
俺もえーりも、なんも変わってない。
えーりは、寂しがりやのくせに強がりで、弱いところを見せない。
今日だって、ここで1人で泣いていた。
その涙をぬぐってやるのはいつも俺。
俺にさえも弱さを見せないから俺はえーりの弱さに気づいてあげるしかなかった。
「なんも変わってねぇ」
さっき芽生えたばかりだと思っていたあの気持ちも、実は傍にあったのだと思う。
昔からこの気持ちといっしょに、成長した。
"好き"は昔からここにあったんだ。