オレンジ
えーりは小さかった。
俺の体にすっぽりはまる。
強く抱きしめれば、折れちゃうんじゃないかってぐらい細い。
えーりの弱さ。
「鈍感で、お人よしで、どうしてこんなにばかなんだろう」
「ごめん」
「あたしが、あんなにわかりやすくアピールしているのに、どうして気づかないんだろうって」
「うん」
「こんなに、近くにいるのに…」
体を離して、見つめ合った。
えーりの赤い頬はオレンジのせいだけではないとわかる。
大きな瞳が閉じた。
長いまつげが俺の顔をくすぐる。
柔らかいものがぶつかった。
俺も瞳を閉じて、この感覚をオレンジの光を強く感じた。
「好きなんだよ。ばか」
俺たちは、何度も何度もキスをした。