オレンジ
「やっべ!えーりこいつかなりうけるから」
「あはは」
乾いた笑いをして、あたしはうつむいた。
なんでこんな鈍感男を好きになっちゃったんだろ…。
「ん。えーりだいじょぶか」
しょーへーはあたしの額に手を当てた。
鈍感だけど優しいんだよ。
「だいじょーぶ」
誰にでも優しいんだよ。
この男は。
「あー…めんどくせ。部活だ」
「あたし、補習」
「ばかだな」
「しょーへーに言われたくない」
お互い立ち上がって、着替えに行った。
むせそうなくらい暑いお昼時。
他愛のない話をして、あたしたちは学校に向かった。