オレンジ



涼しい風を出してくれるクーラーに手を伸ばした。


風をたくさん浴びてから、あたしはソファーに寝転ぶ。




「今日はおばさん何時になるの」


「んー、わかんないっ」



お母さんもお父さんも帰ってくるのが遅いなんていつものことだし。


実際は何時に帰ってきているのかわからないくらい、遅い時間。


顔を合わせるのは、ほんとうにたまにしかない。



しょーへーんちでご飯を食べさせてくれるのはほんとうにありがたかった。


家に1人でいたくないし。

ご飯はおいしいし。

なによりしょーへーといっしょにいられるし。



しょーへーんちのおばさんとおじさんは、ほんとうの親みたいに大好き。

ほんとうの、親だったらな…って、ときどき思っては、その考えを消す。




どうしようもないんだから、しょうがないの。


何度そう自分に言い聞かせてきただろうか。

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