オレンジ
あきれつつ、俺は思った。
好きな人の前だと、えーりは変わるんかな?
「着替えてくるねっ。んで、スーパー行こ」
「はぁ~?スーパー?」
「今日の朝、買い物頼まれたっしょ」
そういえば…。
いっしょに登校するため、えーりが来たときに母さんが言ってた気がする。
えーりが、隣の自分の家に着替えに行ったので、俺も着替えることにする。
どっちにしろ、俺がえーりの頼みを断るってのがむりなんだから。
無駄な抵抗をせずに、クソ暑い外を歩くのが利口。
俺は2階の自分の部屋に足を進めた。
ま、服なんてどうでもいいよな。
てきとうにタンスから出した服を着替えようと思った時。
静かな家にうるさい足音が聞こえた。
リビングに入るわけでもなく、その足音は階段を上り……
俺の部屋に入って来た。
「まだ着替えてないのー?早くー」
「…これから着替えたいんですが」
「気にしてるの?」