オレンジ
「ご飯は、いつもどーりでいいから。けんかとかでもないから。
俺は、お前を嫌いになったわけじゃないから」
どうしてむりやり笑ってまでこんなこと言うの。
安心させるための癖をするの。
しょーへーはあたしの頭に手を乗せて、それから優しく髪をなでた。
友情も、恋人どおしになれるという希望も、すべてがなくなった。
「うん…。わかった」
無理に笑顔を作って、しょーへーの家から出た。
もう、だめなのかな…。
□■□■
1人で家を出て、1人で登校するのはへんな感じだった。
いつもは見慣れているはずのこの景色も、しょーへーがいないからぽっかり穴が開いた気分で。
いつもしょーへーばかりを見ていたってことを実感した。
これだけ、好きなんだって。
となりにいないだけでこんなにも寂しいと感じるなんて。