オレンジ
「おはよう」
あたしは無理に笑顔を作った。
男は、しょーへー以外にもいるんだよ。
ヤキモチとか、妬いてよ。
「えーりちゃんが遅いから迎えにきちった☆」
「ごめんね。寝坊しちゃって」
「メールも来ないんだもん。心配したよ」
「なんでもないから
「えーり、次からは気をつける」
大きな声が、あたしの声に重なった。
悲しい笑顔で、きびすを返した。
どうして、思ったとおりに進まないんだろう。
わざわざあたしが思ったのと反対側に進むんだろう。
これがけんかならいいと思った。
――もう遅い。