オレンジ
名前を呼ばれて心臓が跳ね上がった。
だってしょーへーの声なんだもん。
返事をしそうになってしまった自分がくやしい。
狸寝入りをしてやろうと、あたしは目を閉じた。
あんな携帯の着信音で、起きれないひとなんていないはずなのに。
「えーり…!」
しょーへーが近づいてくるのを感じる。
でもあたしは目を開きたくない。
どうしてここにいるの?
どうして来たの?
目を開いたらきみへの思いもあふれだしそうだったから。