オレンジ
恋、部活、友情。
目の前のことに一喜一憂して、毎日がキラキラ、キラキラ。
子供だからこんな単純に、楽しくて悲しくて。
傷つきやすくて。
涙は、枯れることはなかった。
でも、大人になっていくにつれて。
親がいないえーりの夜から、涙はなくなった。
こんな日常があたり前になって、今になった。
「あたしたち、変わったよ…」
「んだの?俺はとくに変わってないけど」
「ん…」
えーりは最近悲しい顔をしては、それから隠すように笑う。
「さ、早く買い物行こっ!」
変わったのは、えーりだ。
あたしたち、じゃなくて、えーりだけ。
どこが変わったのか。
はっきりとは、わからないけれど。