オレンジ
「なんも変わってねぇ」
「………」
あたしは気づかれないようにすぅと息を吸った。
もう、だいじょうぶ。
なにも変わってないから、またあの頃みたいに突っ走れる。
「俺って、えーりのこと好きなんだろうな…」
「おそいよ。ばか」
あたしは、小さく呟いた。
空洞の中であたしの声が響いて、エコーした。
しょーへーはあわてて振りかえってあたしを見た。
愛しくて、愛しすぎて涙が出る。
瞳を開いたら、あふれだした。
鈍感なしょーへーへの今まで、が。