オレンジ
しょーへーは目を見開いて呆然とあたしを見ている。
「起きて…?」
「おそいよ。ばか…」
涙は止まらなかった。
それほど、うれしかったんだ。
今までの片思いが全て吹っ飛ぶくらい、うれしいの。
しょーへーはあたしを抱きしめた。
狭い空洞の中で、しょーへーの腕の中で。
ひざが砂で汚れた。
でもいいんだ。
今は、そんなことはほんのちっぽけなことだから。
「鈍感で、お人よしで、どうしてこんなにばかなんだろう」
「ごめん」
「あたしが、あんなにわかりやすくアピールしているのに、どうして気づかないんだろうって」
「うん」