オレンジ
「ん?どした?」
俺はえーりの腕を引いて、ずんずんと歩き出した。
「えっ、え?しょーへー?」
たぶんきっと、えーりにとっては、速いスピード。
えーりを気にしてやるとか、今の俺には考えつかない。
早く、男の視線から避けてやりてぇ。
俺のガキくさいくらいの嫉妬。
隠し切れない、欲望。
いいかげん、大人にならなきゃって、わかってるけど、俺らの間では、子供のままでもいいような気がするんだ。
この関係はずっと変わらないものだと信じているから。
「は、速っ…。きゃっ」
えーりがつまづいたらしく、前の俺に突っ込んだ。