オレンジ


ベチョ。



は…ベチョ?




口の周りについたつめたい感覚に、思わず手で確かめた。




「アイスじゃん」


「食べたかったんじゃないかなぁって」




えーりの買った棒アイスが、俺の顔のけっこうな広範囲についたみたいだ。


さっき歩いたおかげでここは人がほとんどいない裏通り。



今の俺の間抜け姿を見られることがなくてよかったと思う。





「えーり…」





俺は怒って、震える声でこぶしを丸めた。



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