オレンジ
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暑苦しくなるほど走って、俺が先に家に入った。
「す・ず・しぃー」
「は、はやっ…」
俺より数秒後、息切れして疲れきっているえーりが入ってきた。
スーパーから家まで、どっちが速いか。
おごりを賭けられて俺はやる気になった。
「負けたぁ~っ!悔しいッ」
倒れるように入って、玄関に倒れこんだ。
「えーり、だいじょぶか?」
「久しぶりに走ったんだもーん」
走って、疲れているはずなのに、えーりの顔は笑顔だった。
「ん。持ってくから」
「ありがと」
えーりの手から買い物袋を受けとって、俺は先にリビングに入った。
クーラーを効かせたままにしたリビングが涼しくて気持ちいい。
俺は冷蔵庫の中に買ってきたものを入れて、いつまでたっても来ないえーりを呼んだ。
「ふぁぁ~い」
なんて気の抜ける返事。