初カレ
「そろそろ帰ろっか」

「はい」



先輩にそう言われてあたしたちは地元に帰ることにした。
しばらく電車に揺られると、だんだん見慣れた景色に変わっていく。



「夏帆ちゃんって家どこ?」

「学校のある駅のひとつ先です」

「まじで!?ごめんね!先に聞かないで」

「大丈夫です、すぐだから」

「だめだめ!ちゃんと送るから」

「大丈夫ですよ」

「だめ」




そして本当に先輩はあたしの駅まで来た。
先輩は学校のある駅の方に住んでるのに。
ということは、もうすぐ楽しかった時間はおしまい。
先輩とは別れなければいけない。
もうちょっとだけ一緒にいたいな、なんて思ってしまう。



(何考えてるの!あたし)



そんな自分に言い聞かせる。



「夏帆ちゃん、お腹空かない?」

「ちょっと…」

「じゃ、ごはん食べてこうよ!時間、まだ大丈夫?」

「はい、全然大丈夫です」

「よかった!もう少し一緒にいたかったから…なーんて」



(先輩、それは本当ですか?…あたしのこと、からかってるだけですよね)



と心の中で先輩に問いかけた。
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