初カレ
やり直そうよって、瞳さんと渚は付き合ってたんだ。
でも瞳さんは大人の女性って感じだし、渚と並んでもあたしみたいにちんちくりんじゃないし、それに渚と一緒にサーフィンだってできる。

…あたしなんて。

そう思ったら涙がじわっと滲んできた。


「エッチだってしてないんでしょ?」

「してない…けどっ」

「じゃ、バレなきゃいいじゃない♪」

瞳さんは渚に顔を近づけた。

(キス…しちゃうのかな…)

さすがにそこまで見届ける勇気はなかったから、こっそり帰ろうとした。
だけど、マヌケなあたしは、立てかけてあったサーフボードに鞄を引っ掛けて、音を立ててしまった。


「夏帆⁉︎」


渚は瞳さんを押し返してあたしのとこに近寄ってきた。

「いつ来たの?」

「…」

「もうちょっとでオーナー戻ってくるから、そしたら帰ろ?」

「……」

「夏帆…?」

「ごめ…なさい。…ごめんなさい。あたし…うまく付き合えなくて、ごめんなさい」

それだけ渚に伝えると、あたしはショップを飛び出した。
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