今日も、明日も、明後日も
「……泣かないで」
「っ……伊織さんが、泣かせてるんです……」
こんなにも、あなたが好きだと知らされる。
そんな私に小さく笑って、ゆっくりと距離を詰める足。
「なら、仕方ないね」
不意に腕は引っ張られて、そのしっかりとした胸のなかに収まるようにぎゅっと強く抱き締められた。
強く強く、存在を確かめるように抱きしめる腕。それに応えるように、私も伊織さんの背中に腕を回し彼を抱きしめた。
すると彼は、私が持っていた小さな箱を奪うと中から指輪を取り出し、そっと私の左手薬指にはめる。ダイヤの光るその指輪は、私の指にぴったりだ。