今日も、明日も、明後日も
おばあちゃんが私を心配してくれる気持ちは嬉しいし、ありがたい。最後の願いを叶えてあげたい気持ちも、分からなくもない。……けどそれでも、やっぱり『はいそうですか』というわけにはいかない。
「そもそも何も知らない、付き合ってもいない人と結婚なんて出来ません」
「無理かなぁ?俺としては結婚してから互いを知るのも楽しそうでいいかと……」
「私は無理です」
「……そっかぁ、なら仕方ないよね」
『仕方ない』、ってことは……諦めた?よかった、意外と物分りはよさそう……。
はぁ、と溜息混じりで諦めたような言い方をする彼に、ホッと胸を撫で下ろす。が、次の瞬間彼の大きな手はガシッと私の両手を握っていた。
「じゃあ、友達から始めよう!」
「……はい?」
……ん?『友達』?
「俺これから毎日鈴ちゃんに会いにくるから!互いを知っていけばいつか、結婚しようと思えるはず!うん!!」
「いや、だから……」
「うんそうだ!そうしよう!ねっ!!」
きっと彼は、物分りはいいのだろう。けど、諦めはよくないみたいだ……。
やる気に満ちたキラキラとした瞳で手を握る。そんな彼にこれ以上断る元気も気力もなく、私は小さな声で「はぁ……」と渋々頷いた。