今日も、明日も、明後日も
ありふれた愛
「聞いたよ〜、鈴。昨日会社前でプロポーズされたんだって?」
「……えっ」
翌朝、会社の給湯室でお茶を淹れていた私にそう話しかけてくるのは同期の友人・由香里。
私と真逆な派手な見た目の由香里は、マスカラがたっぷりつけられた目元とグロスのテカる唇をニヤニヤとさせながら、からかうように私を小突いた。
「そんな相手がいたなんて知らなかったー、何で紹介してくれないの水臭い!」
「紹介も何も…私も昨日初対面だったのに」
「え?何それ、ストーカーか何か?」
意味がわからない、といったように首を傾げる由香里に、私は昨日のことを一通り説明した。