今日も、明日も、明後日も
記憶の香り
その日から伊織さんは、毎日のようにうちへとやって来た。
ピンポーン、
ピンポンピンポンピンポーン
「……こんな朝から誰……」
「グッモーニン♪」
「……おはようございます」
朝は6時からやって来て、わざわざうちで朝食を食べて出勤する。
昼はお互いに仕事だけど
「あっ、鈴ちゃんおつかれ!」
「……おつかれさまです」
夕方には会社の前で待っていて、そのまま一緒に帰宅をして、夕飯。
「残業とかないんですか?」
「うん、俺優秀だから!それより夕飯はハンバーグがいいなー」
「昨日もお肉だった為却下します」
彼は本当に人懐こいというか、愛嬌があるというか……いつだって自分のペースに巻き込んで、あっと言う間に心をほだしてしまう。
これで営業マンだったら、確かに優秀だと思う。