今日も、明日も、明後日も
「じゃあ、俺たちが食べて見せつけてやろう」
「え……?」
「匂いにつられて、出てくるかもしれないじゃん?」
冗談交じりに笑って、その大きな手はパックを奪い迷わずカゴへ入れた。
幸せだった日々を思い出すと、必ずついてくる悲しみ。今この瞬間も、匂い一つで記憶の世界へ飛びかけた。けれど、そんな心を繋ぎ止めてくれたのは、彼の体温。
「……『意地悪』って、叱られちゃうかも」
「じゃあ一つくらいお供えしてあげようかなぁ」
甘い匂いと、こぼされる笑顔につられて笑う。あの頃と変わらない景色が、ここにある。