今日も、明日も、明後日も
『おばあちゃん、まだ寝てるの?早く起きなきゃ……』
『……』
『……おばあちゃん……?』
時計の針が朝7時を指していたその時のことは、今でもしっかり覚えている。
いつもならとっくに起きていて、朝ごはんの支度をしているはずの時間にも関わらずおばあちゃんの姿は台所にはなく、どうしたんだろうとおばあちゃんの部屋へ向かった。
そこにはまだ布団に横になったままの姿があり、冷え切った空気の中で既に止まっていた呼吸。救急車を呼んだもののやはり手遅れで、その時の医者の話で私は初めておばあちゃんの心臓に病気があったことを知った。
呼びかけても返ってこない声に、その日私は“一人"になった。
生まれて初めての一人は、ただ孤独で、落ち込む背中に重くのしかかる。
けど、だからと言っていつまでも落ち込んでいるわけにもいかない。そもそももう一人で生きていける歳だし、仕事だってしなきゃ生活出来ない。だから私は、残されたこの家と思い出と共に生きていくことを決めた。
……静けさが、身に染みるけど。
見渡す部屋に響くのは、今日も変わらない静寂。