今日も、明日も、明後日も



「……千鶴子さん、久しぶりだね」



あがった家の中、おばあちゃんの仏壇の前でその人は囁くように声をかけると、お線香をあげ手を合わせる。

テーブルにお茶を置きながら見れば、その人は茶色い髪をくしゃくしゃとさせ、ストライプ柄のワイシャツに黒のスーツ……といかにもオシャレな会社のサラリーマンといった格好をしている。同じ会社員でも、うちの会社の男性陣とは雰囲気が全く違う。



おばあちゃんの知り合い、にしては若すぎるよね?見た感じ20代半ばくらいだし。親戚に若い子はいなかった気がしたし……まさか彼氏?いや、ないか。

でも家を知っているし、おばあちゃんの名前も知っているし……家にあげて大丈夫だったよね?詐欺とかじゃない?契約するまで帰らないとか言い出さない?



「あ、お茶いれてくれたんだ。わざわざありがとう」

「あ……いえ」


手を合わせ終えた彼は、私に気付くと笑いながらこちらへ体の向きを変え、テーブルの上の湯気がたつ湯呑を手にとった。




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