龍桜唄ーRyuoukaー
第一章・幻想華
一・始まり
こんなふうに改まって筆をとったのは
いつぶりだろう。
僕は今、自室の窓辺にある机に向かい合い
一冊のノートと睨めっこしながら
ペンを武器に、最初にどう書けば良いかを
悩んでいる最中だった。
窓から射す太陽の光が眩しい。
時刻はちょうど
正午を回ったとこだろうか。
僕は、自室にいる時は
ゆったりと過ごしたいがために、
部屋には時計を一つも置いていない。
だが、南から突き刺すように
窓から射してくる太陽の光で分かる。
「……………ダメだ、どうしよう。」
ポツリと呟いたが、
返ってくる返事などありもしない。
正直、僕は何かを書くことは苦手だ。
特にこういった改まって何かを書くことは
僕の天敵といっても過言ではないほどに。
どうしても、最初に書き始める言葉が
どうすれば良いのかが分からないのだ。
多少書き進めれたら、書けるのだが…。