龍桜唄ーRyuoukaー
「誕生日おめでとう、真ちゃん」
「おめでとう、真も大きくなったな!」
「ありがとう、お父さんお母さん!って、お母さん!真ちゃんって呼ばないでって何度も言ってるじゃん!もう〜」
テーブルを3人で囲い、
ケーキとプレゼントが置かれたテーブルに
顔を背け頬をぷくっと膨らませ、
怒って拗ねた素ぶりを見せる。
お母さんは、いつも僕を"真ちゃん"
と呼ぶから、
もう僕も8歳という少し難しい歳だからか恥ずかしい。
「ははっ、いいじゃないか、お母さんは
真が好きでたまらないんだろう。
お父さんは羨ましいくらいだよ。」
僕の右斜め前でどっしりとした座り方で、
落ち着いた低くあまり抑揚の声で
優しげに微笑む、僕の自慢のお父さん。
"大学"っていう学校の先生をしてるんだ。
「嫌だよー、僕、女の子じゃないもん!」
「そうね〜、じゃあ、真ちゃんくん?」
「ちゃんの後にくん?ははっ、それはいいや」
「よくないよ!」
お母さんとお父さんで
勝手に納得されようとしていたけど、
僕は真ちゃんくんなんて反対だ!
僕はまだ拗ねたフリを続けて、
お皿に取り分けてあるケーキのイチゴに
フォーク突き刺す。