私だけの着信音



人気がない路地裏で、彼はようやく私を離すと、息を整えながらくすりと笑った。


「それ、俺が初めて作詞した曲」


彼は私を壁際に詰め寄ると、両手で逃げ場を塞いだ。


「まだ、わからない?俺だよ」

「…Atomのヒロさんじゃ… 」

「そうだけど、ハズレ。早く当てないとどうなるか知らないよ?」


彼はそう言うと、イタズラに顔を近づける。

私の大好きなあのAtomのヒロが、目の前にいる!それだけで顔が熱くて、何も考えられない。


「残念、時間切れ。忘れるなんて酷いよな、手紙くれただろ?」


「ひ、大翔?!」


「もう遅い…」


そして、待ちきれない様に、何度もキスを浴びせる大翔。
私の呼吸が乱れているのもお構いなく。


ふと、彼からの何度目かの着信音が鳴る。


「この曲、お前を想って書いたんだ。でも今は…」


そう言うと、大翔は携帯の電源を切った。



[完]




< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

secret love -彼氏の秘密-

総文字数/10,338

恋愛(純愛)41ページ

表紙を見る
翻弄される男

総文字数/9,436

恋愛(オフィスラブ)16ページ

表紙を見る
君に触れたくて

総文字数/3,135

恋愛(オフィスラブ)6ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop