すきだよ。
「…それに、瀬川さん、好きな人がいるらしいんだよね。
告白してそんな理由で振られるとか、俺立ち直れない。」
はー、と、蓮が溜め息をつく。
恋って臆病になるものなのかもしれない。
―じゃあ、私といるとき、そういう風に気を使ってくれたことあるのかな。
女の子として扱ってくれたことって、あるのかな―
不意に、そんな思いがよぎり、思わずヒヤリとした。
なんだか、私、変だ。
そんな自分の気持ちを消し去るため、私は蓮に言った。
「蓮。
それは意識して当然だよ。
蓮にとって私は幼なじみ、瀬川さんは好きな人。」
そう。そうだよ、夕―。
蓮が真剣に私の話を聞いて頷く。
その相づちが、私の胸をチクりと刺した。