すきだよ。



日も傾き、暑さが少しだけおさまってきた夕方。

私は一人で屋上に残っていた。


そして、さっきまでの出来事を思い出していた。





++++++++…


あのあと。

「やっべ!
オレ教室に忘れ物してきたわ。

とってくるー。」


蓮の言葉が刺さったままだった私は、とりあえず

「あ、うん。いってらー。」

と返した。


蓮が屋上を出ていった後、ふと空を見ると、少しだけオレンジが混じった色をしていた。


──寂しい色だな。
なんか、私みたいじゃん──



蓮がいなくなった途端、急に涙が込み上げて来てしまった。


でも、今泣いてはいけない気がした。

泣いてしまったら、訳のわからない感情に飲まれてしまう。きっと。








結局私は、一人、黄昏ることになった。




















─はずだった。


< 22 / 61 >

この作品をシェア

pagetop