すきだよ。
ガシャン…
何かが私のなかで音を立てて崩れた。
衝撃が大きすぎたのか、震えが来ている。
苦しい…。
呼吸ができなくなるほど。
ワタシハイマ、ナニヲキイタ…?
「そうなんだ~!!」
なのに、気持ちとは裏腹に明るく対応する私。
「それで、ね。
私、中原さんがいつも戸川君といるから、なにか知らないかな、と思って。」
私の態度に安心したのか、瀬川さんは本題に入っていく。
…知ってるよ、たくさん。
瀬川さんが知らない、蓮の癖とか、色んな表情とか。
私は知ってるよ。
そして、好きな人が誰かも──
「具体的にはどういうの?」
「その、えっと─
戸川君の、す、すす、好きな人、とか…」
女の子だな、と思わず思ってしまう程、瀬川さんは可愛かった。
私とは、全然違う。
本当に。
私は、そのピュアな瞳を見ることが出来なくなった。
くるりと屋上のほうに体を向けて
「好きな人いるって言ってたよー。」
「そ、それって、中原さん…??」
瀬川さんが急に焦り出す。
「…へ??」
私はというと、それを聞いて間抜けな声が出てしまった。