浅はかな願い
浅はかな願い
「真実」
ガタンゴトンと揺れる電車の中。
体を動かすのも辛い満員電車だったけれど、見知った声が聞こえてきて、顔をそちらに向けた。
「あれ、順?」
「おはよ」
そう言って順は一歩私に近付いてくる。
恥ずかしくなって背を向けたけど、後ろから抱き締められるみたいに密着していて、さらに顔が赤くなる。
「今日、雅也は?」
「あっ……この先の駅で、待ち合わせてるの」
少し寝坊したけれど学校に一緒には行きたいらしい私の彼氏、雅也は親に駅前まで送ってもらうらしい。さっきメールしたときにはそう言ってた。
「そうなんだ。へぇー、相変わらず、」
順はなぜかそこで言葉を切らす。
順とは中学からの仲だけど、たまにわからない。
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