危険なオアソビ【甘々小説】
腕は掴まれたまま、あたしは恭平と向き合っている。
何よ、と言い返したかったが、初めて恭平の真剣な顔を見て、何も言えなかった。
「…送る。本気でこの道危ねェから。最近、この地域物騒だし。女一人はダメだ」
さっきまでとは違う、落ち着いた声。
「いい…。一人で大丈夫…」
だから何故か、否定出来にくい。
「ダメ。高校生が一人で歩いてんのに、大人の俺が放っておける訳ねェだろ」
そう言って口の片端を上げて笑みを零す。
そんな恭平を見て、原因の分からない熱が、あたしの胸に染みていくように広がる。
分からない。
自分が分からない。
さっきまで嫌いだったこの男が、凛々しく見えた。