さ迷う恋心【TABOO】
「君は優しくて最高の通訳だよ。日本が好きになりそう」
年齢のわりに落ち着いたアルトボイス。ポスターから抜け出しきたような、そのままの彼が私にグラスを渡すと腰を抱き寄せて、そっと首筋に唇を寄せた。
流石はアイドル。女の扱いに慣れてる。
「いい香り、男は一人しか知らないだろ? でも、その男の匂いがキツいな。最後にセックスしたのは三日前?」
「な……なんで、それを?」
十八の少年が、予想外な発言をしてきて首筋から悪寒が走る。
「吸血鬼は鼻がきく。それに女を惹きつける容姿をしていて生血を吸っていられる間は年をとらない」