幼なじみにアイドルなんていりません!
「あとでいっぱいゲームしよ」とジョーちゃんにたしなめられ、あたしは渋々台本を開く。
おまけにとびきり美味しい紅茶も淹れてくれるそうで、その準備でジョーちゃんは席を外した。
と。
「じゃあ、76ページ。カンナの台詞から。よーい、スタート」
『な、なんで助けたりするのよ。いつも意地悪ばっかり言うくせに優しくなんてしないでよ』
すぐにページの指定をされ、あたしは慌てて台本をめくり、カンナの台詞をかなり棒読み。
けれど修二はすでに役に入り込んでいるようで、やや間を取ってからこう台詞を言った。
『全部演技だよ。可愛いと思ってんだからしょうがねぇじゃん』
とたん、あたしは役なのかどうかの境目が分からなくなった。
だって修二は、耳まで真っ赤になっていたのだから―…。