バーテンダー


「KOホテルの楊貴妃はブルーだったけど」


「当店では、男性にはブルーを女性にはピンクを出してます」


上品に微笑んだ顔は、女性は特別なんですよと訴えているように見えた。


乳白色掛ったカクテルをチロリと舐めた。


「美味しい」


「美味しいものがお好きですか? とてもいい表情してます」


二コリと微笑んだその顔は、例え営業用スマイルでも、ときめくものだった。


入って三日目。


これが、もし、入って一年目なら、このバ―、こんなに空いていないはずだと辺りを見渡した。


「彼、いいでしょ? 前に居たバーテンダーが、イマイチでしてね。そのお陰で随分客が遠のきました。彼なら、この先挽回してくれると信じているんですけどね」


マスターらしい老人が、カウンター内から話しかけて来た。


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