バーテンダー


絶妙なタイミングで出されたミネラルウォーターをゴクリと飲みほした。


「それから、どうなったんですか? 華子さんのお話、とても興味が沸きました」


「どうなったと思います?」


「そのままついて行かなかったか、結婚して直ぐに別れたか、どちらかだと思います」


「何? そんなにわたしを別れさせたいんですか?一人者にしたいんですか?」


カチンときて、声を荒げたわたしを、軽くあしらうように


「そうじゃないと、こんな時間に僕と出会うことなど無いでしょう」


「……」


「それに、華子さん。独身女性が持つ特有の美しさを保ったままじゃないですか」


「美しい?」


「ええ。華子さんはとても美しいですよ」


先を見越してなのか、このバーテンダーは三十女に言ってはいけないことを言った。


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