バーテンダー


「ハイハイハイ。お姉さん。それをここで言っちゃお終いだよ」


バーテンダータモツの顎を持ったまま、声がした方に顔を向けると、
三つ隣に座っていた金髪で長髪のイタイ中年が手を叩きながらスツールから降りた。


「あ……あなた、さっきから何ですか? こっちに視線を頻繁に向けてきたり、 人の話に割り込んできたり……やめて下さい」


「あのさ、お姉さん。そいつね、ここでカクテル作って商売してる身なの? 自分を売って、商売してないわけ。それにね、もし、俺が、買春のおとり捜査官だとしたらどうするつもり?」


タモツの顎から手を離して、金髪で長髪のその中年を凝視した。


お……おとり捜査官?


少しくたびれた感じのブラウスに、斜めにズレテいる眼鏡にボサボサのひっつめ髪。


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