バーテンダー


「そ……そんな金髪で長髪の警察官がいるはず無いじゃない」


「確かに……」


そう言いながら、眼の前のタモツも大きく頷いた。


痛いとこ突かれたと言った感じで顔をヒクリとさせ
「だ・か・ら。誰が聞いているか分からないこんな場所で、幾らとか聞いちゃダメってこと。そこを言いたいわけよ。お姉さん、買春容疑で捕まりたいわけ?」


ドヤ顔、してやったり顔のその男の顔をマジマジ見詰め返した。


『三十女、買春容疑で現行犯逮捕』


悲惨だ……


なにはともあれ悲惨だ。


例え酔っていたにせよ、人目も憚らずに幾ら極上の男が眼の前にいたからと言って、値段を聞くなんて、わたし……どうかしてる。


< 19 / 76 >

この作品をシェア

pagetop