バーテンダー
この目の前の上品に笑う絶妙男は、今まで地味に生きて来たわたしを狂わせた。
隣の、この金髪、長髪男に声を掛けられなかったら、幾らでも払うから今夜付き合えと喚き散らしていたかも知れない。
女が男を買うなんて、どれだけ頭がイカレテいるんだろうと、軽蔑していた。
ホストクラブに通い詰め、散財する女の気持ちが分からなかった。
それなのに……
タモツは、わたしなんかのド素人が太刀打ち出来る相手じゃないと、最初このスツールに座った時から分かっていた。
この夜の世界を華やかに生き抜いて来た男だと感じていた。
そんなタモツに抱かれてこの身が滅びればいいと……