バーテンダー
彼と向かい合った場所では無く、手を伸ばせば届くほどの距離に座った。
今日、貰って来たサクランボを洗って、ガラスの器に盛り、それを頬張りながら、色んな話をした。
笑った彼の横顔は、わたしをなごませ、温かい気持ちにさせてくれた。
時間が過ぎ、コーヒーを飲み終えた彼だったが、わたしの隣に座ったまま、帰ろうとしなかった。
かと言って、あからさまなモーションを仕掛けてくるワケでもなく、ただ、どうしようかと戸惑っている感じだった。
始まったばかりのスポーツニュースをボンヤリと二人で見ていた。
スポーツキャスターの明るい笑い声が響いていたが、なぜ笑っているのか、内容が全然頭に入って来なかった。