バーテンダー

「ったく……自分のことは自分でする。自分の欲しい物は自分で手に入れる。自分の物は自分で買いに行くって親に教わらなかったのか?」

そんなことを呟きながら、青白く光る煙草の自販機を睨みつけていた。

もし俺が、フライパンさえも折り曲げることのできる怪力の持ち主なら、この自販機を背中に担いで、あの金髪野郎の眼の前に背負い投げのごとく叩きつけてやるところだ。

この自販機には微塵の恨みもないが、あの金髪野郎をギャフンと言わせることができるのなら、たとえこの自販機をスクラップ工場へと送り込むことになろうと俺の良心はまったく痛まない。

あいつから貰った小銭を入れる前に、自販機を自分の背中にピッタリとくっ付くように立ってみた。

背中が熱い。

まあ、これは電気が通っているんだから当り前だ。

両手を広げて背負えるかどうか試してみた。

後手にしても手は回るから背負えないことはない。

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