Meaning of Kiss



深く息を吐いた凌。


「…戻って、あげなよ。心配なんでしょ?」

「…うん」

「お父さんも、きっと素直になれなかっただけなんじゃない?

ちゃんと話せばいいよ、家族なんだから大丈夫」


目線を合わせずに言葉を紡ぎ、
テーブルの上のカップを取ってコーヒーを飲んだ。


「…なぁ、梨緒」

「ん?」

「着いて来てよ」

「…はぁ?」


一瞬咽せそうになるのを堪えて、思わず凌を凝視する。

でも当の本人は、至って真面目な表情で。



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