キミの風を感じて
いやいや、悲しいのはわたしだよ。
ぶざまに走って恥をかくだけじゃなく、クラスのみんなに迷惑かけて、そのうえゴリラのように恐ろしげな鈴木くんに死ぬほど罵られるんだ……。
冗談だと言って欲しい。
「わたしが代わってあげられたらいいんだけど」
訊くと松山さんは400mリレーのアンカーを務めるらしい。陸部だっけ? 足速いんだ。
そんな人の代わりなんて、もっと無理だし。
「希望者がいないならジャンケンで決めようって言ったら泣き出しちゃう子までいて、もうわたしお手上げなんだ。
今から決め直すとなるとかなり大変そうなのよ。だから出たくなかったら、立木さんのほうで代わりに走る子を探してきてくれない?」
HRでの話し合いはかなり難航したらしく、松山さんはちょっとウンザリとそう言った。