キミの風を感じて

翌日は雨だった。


加島くんとの練習がイヤであんなに望んでいた雨だったのに、今はちっともうれしくない。


むしろ窓の外を見てどんだけがっかりしたか。




どしゃぶりの雨――。


ふたりっきりの練習は今日が最後だったのに……。


きちんとお礼が言いたかった。
加島くんも彼らしい言葉を、何かくれたかもしれない。



でも……。


それにもまして昨日のことが気になっている。


加島くんが今どんな状態でいるのか知りたい。


知ったところで、こんなわたしがしてあげられることなんて、ありはしないんだけれど。





朝練が習慣化していて時間を持て余し、結局通常の登校時間よりかなり早く学校に着いた。




やまない雨。


灰色の空ごと落ちてくるかのように
ザーザーと降り続く――。




「さむ」


傘を持つ手がひどく冷たかった。


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