キミの風を感じて

ハッ……!


そのとき、ぬかるみに足を取られたのか、加島くんの体がグラッと揺れてバランスをくずし、そのまま地面に叩きつけられた。


バシャン、と大きなしぶきがあがる。




か、加島くん!?



倒れ込んだ体がゆっくりと起きあがるのが見えた。


そして、座り込んだまま動かない。




彼はグランドの中央でじっと雨に打たれていた。


容赦なく降りしきる雨。
動かない加島くん……。




「か、加島くんっ」


グランドをバシャバシャと突っ切って、彼に駆け寄った。


「大丈夫? ケガしたの?」


座り込んだままの加島くんに傘を差しかける。




驚いたように見あげる目。


「「中止だよ? 今日の朝練……」」


わたしたちは同時にそう言った。


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