キミの風を感じて

「い、いるかなぁ、代わってくれる人……」


「もしダメだったら加島くんに相談してみてよ」


「か、加島くん？」


「男子の体育委員は彼だから。それに、リレーの最後の１人がどうしても決まらなくて、結局立木さんで行こうって決めたのは加島くんだったし。

責任とって何とかしてもらって」


最後はとてもあっさりと、しかもかなり他人まかせに松山さんは言った。




「う……ん」


か、加島くんって……。


「やだなぁ、わたしあの人苦手なんだけど」


ユメちゃんもコクコクとうなずく。




無愛想でとっつきにくくて恐そうで、しゃべったことのない陸上部の有名人。


100m走をすっごく速く走るから“100のプリンス”なんて呼ばれている。





「じゃ、ゴメンね。よろしく」


だけど話はそれで終了しちゃったみたいで、結局わたしは次の休み時間から、代わりにリレーに出てくれる人を探さなければならなかった。