キミの風を感じて
レンガ色のトラックレーン。
真っ直ぐに伸びる白いライン。
スタートの号砲。
目の前に広がる青い空。
その間に割り込む何人もの背中。
空が、見えなくなる。
スタートをミスったわけではなく
どこか故障しているってわけでもない。
けれど追いつけない背中。
縮まらない距離。
後方からひたひたと追い上げてくる足音――。
じりじりと迫る時間は
一瞬なのか
永遠なのか……?
そんな夢をよく見る。
目が覚めると俺は布団の中にいて、『これは夢だ』と自分に言い聞かせている。
夢のくせにその感覚がいつまでも体を支配していて、思考がうまく現実にシフトできない。
暑くもないのにじっとりと汗をかいていた。