キミの風を感じて

「ちょっと加島くん」


クラスの女子に呼びかけられて我に返る。


「紗百ちゃん、鈴木にいじめられてるよ」


えっ?


見ると、大男の鈴木が立木さんのすぐ横に立ち、腕組みをしながら彼女のことを見おろしていた。




「何だよ、何、何?」


あわてて駆けてって間に入る。




「あのね、鈴木くんが走って見せろって」


小さな声でそう言って、不安げに俺を見あげる瞳。




「なんで立木さんにだけ言うんだよ?」


反論する俺を、鈴木はジロッとにらんだ。


「当ったり前だろ? 背負わされるお荷物がどんな重さなのか、みんなだって知っておきたいはずだ」


ふんぞり返って、わざとでかい声で言う。


こいつ、お荷物だとか……。言い方がいちいちキツいんだよ。




パッコン、とそのとき、誰かが鈴木の尻を蹴った。


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